工務店・施工業者の方太陽光パネルの防鳥ガイドライン

正確な太陽光パネル防鳥に向けて

太陽光パネルと屋根の隙間に鳥が侵入することで引き起こされる問題を「太陽光パネルの鳥害」と言い、それを解決することを「太陽光パネルの防鳥」と言います。

太陽光パネルの鳥害は一度発生すると自然に解決することはありません。解決するためには、鳥が侵入できないよう物理的な対策を行う必要があります。この時に太陽光パネルの防鳥について正しい知識を持ち、適切な対策を行わないと、数年内で防鳥資材は機能しなくなり鳥害が再発します。このような事態を引き起こさないためにも、鳥の性質や設置環境をふまえて、適切な施工を行うことが大切です。

本来防鳥を行うことは案外複雑で難しいものですが、この「太陽光パネルの防鳥ガイドライン」では、太陽光パネルの防鳥についてわかりやすく要点を絞り、知っておくべき基本事項を解説しています。はじめての方はもちろん、経験のある方も再確認する為にぜひご一読ください。

施工のための基礎知識

太陽光パネル防鳥は『専用資材』を使う

太陽光パネル防鳥の際は、それに向けて研究・開発された専用資材(例:バードブロッカー)を使用することが非常に重要です。太陽光パネルは長期間雨、風、紫外線に晒される極めて過酷な現場であり、さらに、屋根の上に設置されているため頻繁にメンテナンスができません。専用資材はこのような過酷な現場に向けて研究・開発されていますので、作業性・防鳥性・耐久性が優れています

一方、樹脂ネットなど太陽光パネルの防鳥に向けて開発されていないもの(非専用資材)は本来の用途と異なる使い方ですので、数年で破け部品が外れるなどして鳥害が再発します。非専用資材が一部でも使われていると、その部分が破けたり壊れるなどボトルネックとなってしまいます。非専用資材を用いた場合は、施工そのものに問題がない場合でも欠陥となり、トラブルの原因になりますので注意が必要です。

非専用資材の例

樹脂ネット

周辺環境により、数年で破けて部材の破損が起こり再工事が必要になります。

十分な通気性が確保されていない金属板

パネル裏の換気を十分に行えない場合、太陽光パネル発電効率が低下します。

隙間を残さない

太陽光パネルの鳥害は、その多くがハトです。ハトは首が入るくらいの隙間があれば侵入してしまいます。また幼鳥であればそれより小さな隙間でも侵入可能です。屋根材の段差・湾曲部や架台、配管周辺は特に侵入を許す隙間が残らないよう気をつけてください

そのためにも、様々な現場形状に合わせて容易にフィットさせることができる設計になっている専用資材を選びましょう。防鳥の経験が少なく不安な場合は素人判断せず、プロのアドバイスを参考にすることが重要です。

見積・施工の準備

現場の事前確認を行う

スムーズな施工のために、詳細な現場情報は欠かせません。施工前に現場確認をしっかり行うことで、より詳しく現場を把握し、工事の全体像をイメージすることができます。
また、部材選定の精度も向上しますので、不測の事態にも余裕を持った対応が可能となります。

事前確認が必要なポイント

地上からでは確認できない太陽光パネル棟側の状況

太陽光パネル棟側の状況は地上からでは確認ができず、実際に屋根に上がらないとわかりません。地上からは何も見えなくても裏側では太陽光パネルを乗せる架台と呼ばれる部材や、ケーブル配管等が飛び出ているなど、複雑な形状になっていることも少なくないため注意が必要です。

被害状況、ヒナ鳥・卵の有無

すでに鳥害が発生しており、営巣されている場合は施工前にそれらを撤去・清掃するといった作業が発生します。ヒナ鳥や卵が確認された場合は、工事自体が行えないことがあります。

ヒナ鳥や卵が確認された場合は、鳥獣保護法により勝手に撤去を行うことは禁じられているため、「ヒナ鳥が巣立つまで待つ」ことになります。工期の調整が難しい場合は、「管轄の役所に申請」して許可をもらうことで、巣や卵を撤去することが可能です。

  • ※詳しくは管轄の役所にお問い合わせください
巣材・ヒナ鳥や卵への対応フロー
パネルと屋根材の隙間、フレーム形状の確認

地上からは均一に見えるパネルと屋根材の隙間ですが、実際に計測すると均一では無いことが多いです。架台の設置状況により、現場ごとに状況が異なりますので、予め確認が必要です。

この他にも、事前調査を行うことで屋根材の状態や現場ごとの注意すべきポイントが明確になり、設置方法や部材選定にも影響しますのでしっかりと確認しておく必要があります。

要所ごとに写真を撮っておく

「施工方法に不安がある」、「自らの経験だけでは状況の判別が難しい」場面でも、現場写真を撮っておくことで、防鳥資材メーカーからアドバイスが得られ、スムーズな施工に繋がることは少なくありません。そのため、作業前・中・後に現場写真を撮っておくことをおすすめします。

また、屋根材のひび割れなどが施工前からあった際には、自身に過失が無いことの証明になりますので、トラブルを未然に防ぐことにもなります。

施主様が気になるポイントを撮影し画像を見せることで、施主様の理解が得やすい等多くのメリットがありますので、要所ごとに写真を撮っておくことをお勧めします。

施工中の留意点

安全な施工のためのポイント

太陽光パネルの防鳥工事は屋根上で行うため危険が伴います。
屋根上の施工に慣れていない場合は、以下のことも参考にしながら常に細心の注意を心がけてください。

緊急事態や不測の事態に対応できる状態にする

  • 施主や建物管理者が不在の場合は施工しない
  • 作業は2人以上で行う

見落としや事故の危険度を下げる

  • 安全帯など安全(落下防止)対策を行う
  • 作業員の体調がすぐれない場合は施工しない
  • 雨天、強風などの場合は延期する
  • 夕暮れなど、時間が遅い場合は無理に作業をしない

常に心と時間にゆとりを持った作業を心がけてください

清掃を丁寧に行う

施工前に必ずゴミの撤去と清掃を行います。
すでに鳥害が発生している現場では、鳥の糞や巣材がパネル裏に堆積したり雨樋で詰まっていることがあります。
清掃を行わなかった場合、具体的には以下のことが発生する可能性があります。

  • フンで詰まった雨どいから汚れごとあふれ出す
  • 屋根材の隙間から雨漏りを引き起こす
  • パネル機器のケーブル漏電による火災が発生する

防鳥工事完了後には太陽光パネルの隙間は塞がれた状態になりますので、施工前に綺麗な状態にしておくことが重要です。

その他

パネルメーカーの保証継続について

太陽光パネルの防鳥の際に使用する防鳥資材は、パネルメーカーの推奨品ではない場合、太陽光パネルへの穴あけ等の加工、または防鳥ネットを取り付ける行為自体により、パネル保証が外れることがありますので注意が必要です。

  • ※パネル保証については必ず太陽光パネルメーカー各社規定をご確認ください。

パネル保証が外れる可能性がある例

穴あけ等太陽光パネルへの加工

非専用資材の使用

積雪地域の場合

積雪地域では太陽光パネルに堆積した雪が落下する際に、防鳥資材を巻き込んで脱落することがあります。また、防鳥資材を設置後に積雪の影響によりパネルの故障・破損等が生じた場合、パネル保証が免責となります。このことから、積雪地域での太陽光パネルの防鳥は原則として推奨いたしかねます。
バードブロッカーについても例外ではありませんが、その上でご検討いただく際は、必ず積雪地域向けの設置方法にて設置ください。積雪地域向け設置方法は、積雪・落雪による影響を極力受けにくくした設置方法です。

  • ※パネル保証については必ず太陽光パネルメーカー各社規定をご確認ください。

バードブロッカーのご相談・お見積り

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